「ネットでも店舗のモノやサービスを販売したい!」あるいは「ネット予約システムを作りたい」と思っているのではないでしょうか?そうするにはアプリやECサイトを作る必要があります。
ECをこれから作る方「個人でECサイトを作るのは大変そうだ。。」
と身構える必要はありません。もし小さい規模のECサイトで良ければ「BASE」や「STORES」などの無料のネットショップサービス利用すれば、TwitterやInstagramを始める程度の労力とITリテラシーでECサイトを費用ゼロで作ることが可能だからです。
また、もしあながた企業の担当者である程度の見た目のネットショップを作る場合であっても、ASP(エーエスピー:正式名称アプリケーションサービスプロバイダー)を利用すれば、初期費用3万円と月々の運用コストが数千円のECサイトを作ることができ、ある程度ならサポートも受けることができます。
ただし、ECサイトで難しいのは「作ること」ではなく、多くの人にECサイトにアクセスを集める「集客」であり、ECサイトを作る時には集客をどのようにしていくか意識しなくてはなりません。
本日はECやインターネット業界に10年以上所属し、インターネット集客の専門家である筆者が、ECサイトの作り方を解説します。この記事を最後まで読んでくれれば、自分がどのようにECサイトを作れば良いのかが必ず理解できるはずです。
ECサイトの作り方は「個人」か「企業」か?あるいはECサイトの「想定年商」によって異なる!
ECサイトを作る前に、ECサイトには7つの作り方があって、どの手法を使うかはECサイトの想定年商(ECサイトの売上)で変わってきます。下記の表をご覧ください。
◆ECにかかる費用・想定EC年商
この表をみて、ほとんどの方は①か②に該当すると思いますが、まずはご自身が該当するECサイトの作り方を①から⑦で選んでみてください。
◆ECサイトの作り方の7つの手法
手法①無料のECサービス
手法②ASP(カスタマイズ不可)
手法③ASP(カスタマイズ可能)
手法④オープンソース
手法⑤クラウドEC(SaaS型)
手法⑥パッケージ
手法⑦フルスクラッチ
7つのECサイトの作り方を解説
手法①無料のECサービス
まず、無料のECサービスとは日本ではこの2社が代表的です。
◆代表的無料ECサービス
大きな違いは「手数料が安いのはSTORES」で、「モール連携機能があるのはBASE」とだけ覚えておけば良いでしょう。下記の比較表には詳しい違いを掲載しておきました。
◆BASEとSTORESの比較
ステップ①BASEかSTORESのどちらかを選ぶ
上記の表を見ると、安くて機能が豊富なSTORESの一択である印象を受けますが、ECサイトで難しいのが「集客」です。BASEには「モール機能」があり、BASEが運営するショッピングモールと無料で連携できる機能があるメリットがあるのです。
このモール機能とは具体的には、BASEのショッピングモール内でのランキングがあがります。自社サイトでリピーターがつき商品が売れ始めるとBASEのショッピングモールはあなたのサイトを取り上げてくれるようになり、アクセス数が伸びるのです。月商7万円を超えたあたりから、流入が結構増えてきます。
このため、集客力があるのはBASEです。ただし、BASEのショッピングモールはそこまで有名なモールとは言えませんし、もっと集客力のあるInstagramやnoteといったSNSでの集客も可能なので、顧客管理機能などの基本機能が充実しているSTORESの方が、ECがある程度の規模になったときの後悔が少ないと筆者は考えます。
自分でブログやInstagram、あるいは実店舗でECサイトの集客ができる方は費用の安いSTORESを利用し、集客にまったく自信がない方は、まずはモールと連携できるBASEを利用するという判断軸で考えると良いでしょう。
ステップ②ショップURLとメアドとパスワード登録
BASEかSTORESかを決めたら、ECサイトの登録作業を行います。登録する情報は以下の3つだけです。
◆ECサイト登録に必要な情報
(1)メールアドレス
(2)パスワード
(3)ECサイトURL
(1)と(2)はログインするために必要な情報です。無料ECサイトはブラウザーの管理画面で操作をするので、その管理画面にログインするための情報が必要なので、メアドとパスワードを設定する必要があります。パスワードはカンタンに推測されるものだと、不正アクセスされるリスクがあるので、複雑なものにしましょう。
(3)ECサイトURLは独自のものにする必要があります。また、無料プランでは、URLの設定に制限がかかります。
BASEの場合は
「https://○○○○○.thebase.in/」と○○○○○の部分しか自由に設定できず、
STORESには
「https://○○○○○.stores.jp/」という制限があり
それぞれ有料プランでなければドメイン名を自由に作ることはできません。
ただし、個人のECサイトであれば、そこまでドメインにこだわらなくても良いと思います。有料プランも非常に安いのですが、最初はコストをあまりかけずにECを運営してみるべきだと筆者は考えます。
ステップ③デザインテンプレートの設定
ECサイトのURLが決定したら、テンプレートの中から好きなデザインを選びます。またご自身がHTMLやCSSの知識があれば、デザインをカスタマイズすることも可能です。BASEの場合は有料のテンプレートを購入することもできます。
テンプレートも初期設定後、変えるのはカンタンなので、最初はあまりこだわらなくても問題ありません。
ステップ④商品登録
販売する商品を一つずつ登録する作業です。この作業が最も時間がかかる工程です。
◆商品登録に必要な要素
(1)商品写真
(2)商品価格
(3)商品説明
(4)種類・サイズ
(5)在庫数
売れるECサイトで重要な要素が商品写真と商品説明です。ユーザーはECサイトでは実店舗のように手に取ってみれないのですから、写真と説明文をよく読みます。ここで購入の確信にいたる情報がなければ、購入をあきらめてしまうからです。少なくともサイズ感の説明や、商品のメリットなどを丁寧に記入します。
ステップ⑤決済方法の決定
BASEやSTORESで用意されている決済方法をチェックして、どの決済を使うかを決定します。
・クレジットカード決済
・コンビニ決済
・銀行振込
・後払い
・キャリア決済
・PayPal
決済方法が多ければ、それだけ購入してくれる可能性が高まります。例えば10代はクレジットカードをもっていないので、キャリア決済が相性が、良く、お年寄りには銀行振込と相性が良いからです。それでもクレジットカード決済があれば、決済の8割くらいはカバーできるでしょう。
代引きも需要がおおいですが、これも有料プランでなければ利用することができません。
ここまで終われば、サイト公開してECサイトがオープンとなります。BASEとSTORESもどちらも有料プランがありますので、詳しくはそれぞれの公式ページで有料プランを確認してみてください。
手法②ASP(カスタマイズ不可)
それでは、つぎにASP(アプリケーションサービスプロバイダー)を解説します。ASPは多くの会社からサービスが提供されておりますが、主なものは下記の9社と思って間違いありません。
(1)カラーミー
(2)Shopify(ショッピファイ)
(3)MakeShop(メイクショップ)
(4)ショップサーブ
(5)FutureShop2(フューチャーショップ2)
(6)たまごリピート
(7)侍カート
(8)リピスト
(9)Bカート
◆ASP9社の費用面の比較表
ステップ①自社に合うASPを2~3社程度を選ぶ
代表的なものだけでも9社に分かれており、選ぶのが大変かもしれませんが、実は4つの軸に分けると、どれを導入すべきかわかります。
◆安さ・手軽さでASPを選ぶ!
この軸だと、下記の2つのASPとなります。両方とも最低のプランですと月額費用が5000円以下で利用できます。
(1)カラーミー
(2)Shopify(ショッピファイ)
特にカラーミーは、デザインの編集の自由度も高く、デザイナーから支持されているASPカートです。私の知り合いのデザイナーは、高価格ASPのMakeShopよりデザインの自由度が高かったと言っておりました。
Shopifyはカナダ初のASPで、世界一利用者が多いECカートシステムです。ここではBasic Shopifyプランの月額費用29ドル(日本円で3200円程度)のものを紹介しております。世界中で利用されているメリットとして、無数のプラグインやデザインテンプレートが開発されており、選択肢を沢山持ちたいITリテラシーが高い人に向いているASPと言えます。
日本語のマニュアルや情報も、ここ2年くらいで充実してきた印象ですので、海外ASPであることをさほど気にしなくても良いでしょう。またShopifyは自社の取り分の決済手数料をとっておらず、クレジットカード決済を行った際の手数料が3.4%なのも大きな魅力です。だいたいASPのカード決済手数料は4~5%が相場なので、非常に安いです。
◆高機能なASPを選ぶ
(3)MakeShop(メイクショップ)
(4)ショップサーブ
(5)FutureShop2(フィーチャーショップ2)
この3社ではMakeShopが一番有名ですが、評判は決してよくはありません。MakeShopは機能を次々と実装していった結果、細かい自由度を失っている印象です。私の知り合いのデザイナーは、カラーミーからMakeShopにECの乗り換えを行った際、低価格ASPのカラーミーで実現できたデザインが、MakeShopで実現できなかったと言っておりました。
この軸で最も評判の良いASPは間違いなくFutureShop2でしょう。その理由はアパレル業界での利用が多いことが挙げられます。ECサイトの中でもアパレル業界はデザインや機能の点で、もっともECシステムのスペックが求めれらる分野であり、その分野で支持されているのがFutureShop2だからです。
ショップサーブは、機能や管理画面の使い勝手は他に劣りますが、その分人的サポートがしっかりしている印象です。
◆定期販売やサブスクリプションなど特化型ASPを選ぶ
(6)たまごリピート
(7)侍カード
(8)リピスト
健康食品や、サプリメントを扱っている事業者であれば、定期販売・頒布会をECサイトで行いたい場合は、これらの定期販売や頒布会に特化したASPを利用すると良いでしょう。カンタンな定期販売や頒布会の機能は、上記で紹介した、MakeShopなどでも可能ですが、複雑な周期設定など定期販売や頒布会独自の機能を使うなら特化型が一番です。
業界で定期販売や頒布会で最も有名なASPは「たまごリピート」ですが、月額費用が3万円程度と結構価格が高いので、機能をASPに合わせることができるなら、「リピスト」なら安く導入できます。
◆BtoB対応のASPで選ぶ<4番目の考え方の軸>
BtoB事業でECサイトを作る時は、独自の商習慣に対応したECサイトでなくてはなりません。ひと昔前はBtoBの分野は、パッケージやクラウド、フルスクラッチなどカスタマイズ可能なECサイトでしか対応できておりませんでしたが、現在は「Bカート」というBtoBに特化したASPがあります。
BtoBでECサイトを構築するのでしたが、まずはBカートを機能が自社の業務フローに対応しているか、確認してみるとよいでしょう。
ステップ②上記で選んだ2~3のASPの資料を問い合わせて、話を聞いてみる
一度、ECサイトのシステムを導入すると、再度入れ替えるのは非常に労力がかかるので、必ず複数社の話を聞いてください。ASPであれば、
◆ASP導入前の各社の対応パターン3つ
①担当がついて、説明しに来てくれるケース
②電話応対で対応してくれるケース
③質問がある場合のみ対応してくれるケース
この3つのケースに分かれます。月額5万円以上の場合は「①担当がつく」可能性が高いですが、ASPサービスは「薄利多売」のビジネスモデルですから、導入前に訪問して説明をしてくれるケースは限定的です。
ただし、大手企業の場合は、このケースに該当せず、ちゃんと担当が付く可能性が高いでしょう。なぜなら、ASP側も大手の事例があるとブランディングが強化されるために、担当者を派遣するケースが多いのです。
まずは、電話でも良いので、2~3社の話を聞いてECシステムを選定してください。選定の際は業者が言う「SEOが強い」「モール連携の仕組みで集客が楽」といったベンダーアピールの面にとらわれず、自社とのバックオフィス作業との相性や、ECサイトで実現したい事(ステップメール、他システムとの連携)を事前に確認しておきましょう。
また、できれば管理画面のデモアカウントをもらって、「担当者が使いやすいインタフェースであるかどうか?」なども確認してください。
ステップ③ASPが決定したら、導入する「自分達でやるか?」「業者を使うか?」
ASPが決定すると、以下の作業が発生します。
◆ASPのECサイトをオープンするまでに必要な7つの工程
工程①ドメインの設定
工程②ECの基本設定(決済設定等)
工程③ECサイトのデザイン
工程④商品登録
工程⑤テスト注文
工程⑥業務フローの確認
工程⑦公開作業
これらの作業は、自分達で行うこともできます。HTMLやCSSの知識がなくてもASPにはデザインテンプレートがあらかじめ用意されているので、それを利用することでデザインの手間を省けます。
そしてITリテラシーに自信がない担当者は、ASPが用意する「導入サポートサービス」や「サイトデザインのカスタマイズサービス」を利用すれば、彼らがECサイトをオープンするまで作業を代行してくれます。おおよそ20~30万円が目安となります。
商品登録に関しても、代行サービスがあり、商品撮影から採寸、商品説明のライティングを専門に行う「ささげ業務」を行う事業者もあり、ECの手間のかかる作業を代行してくれます。1商品あたり3,000円程度の費用がかかりますが、一度作ってしまえばECで永続的に利用できるので、商品数が少ない企業であれば、そこまで高い費用ではないと思います。
「ささげ業務」を知らない!という方は下記の記事が良くまとまっているので、ご覧ください。
もし、ECやITの知識・ノウハウに自身がないのであれば、ASPの導入サービスや、外部業者を使って、初期設定を行い、その後は自分達で、ノウハウを蓄積しながら運用していくべきでしょう。
手法③ASP(カスタマイズ可能)
ASPの特徴の一つが「カスタマイズができない」ことでしたが、最近ではASPの中でも、カスタマイズが可能なものが出てきました。カスタマイズ可能なASPは「MakeShop」や「侍カート」など徐々に増えてきております
参考ホームページ:GMOクラウドEC
カスタマイズといっても、MakeShop本体に手を入れて改修するわけではなく、あらかじめ連携するためのAPIをMakeShop側で用意しており、そのAPIを利用して、外部システム(基幹システム、顧客管理システム、配送システム)との間にアプリケーションを作って、そのアプリケーションをインタフェースとして連携するのです。
複雑なシステム連携やカスタマイズは難しいですが、データを連携するだけというシンプルな連携に向いているシステムと言えます。
このシステムが向いている企業は、最初はASP(MakeShop)で連携せずに単体でECサイトを運営し、ECサイトが軌道にのったタイミングで、外部システムと連携することで、バックオフィス作業を減らして、ECサイト運営の効率化を行いたい企業です。
◆カスタマイズ可能なASPの費用感
初期費用は10万円~
月額費用は5万円~
ECシステムを運営したことがないのに、最初からシステム連携やカスタマイズを検討するのは労力が多くかかるので、ASPでトライアル的にスタートさせてから、必要なタイミングでシステム連携を行のは、フェーズを分けるという意味でリスクが少なるために悪くないECサイト運営です。
ただし、年商で3~5億円くらいがこの方式の限界であり、それ以上のECサイト年商がある場合は、「パッケージ」や「クラウドEC」などもっと規模感の大きい方式を選ぶべきでしょう。
ステップ①将来ECサイトの年商を1億円以上にする気はあるか?ないか?
そもそも、年商が1億円未満のECサイト運営でしたら、MakeShopをカスタマイズする必要もないので、通常のMakeShopか、もしくは他のASPで十分です。まずは、1年後、3年後、5年後のECサイトの年商で規模感を考えてみましょう。
ステップ②MakeShopをカスタマイズしないで導入するか?最初からカスタマイズするか?検討する
すでに年商ベースで1億円を超える売り上げがある(あるいは想定売上が)なら、最初から基幹システムや在庫連携などを考えるべきです。
年商1億円のECサイトということは、ざっくりですが1日の注文数が100件を超えることが多く、そうなるとASPではバックオフィス作業が頭打ちになり、ECサイトの売上を高めることが難しくなるので、バックオフィス作業の効率化のために、ECサイトと外部システムとの連携を行い、作業を自動化する必要があります。
もし、年商が1億円に満たないならば、ノーマルのMakeShopを導入しておき、年商1億円を超えるタイミングで、MakeShopをカスタマイズしてみるべきです。
ステップ③MakeShopを外部連携する場合は、MakeShopの開発チームに依頼し、自社側のエンジニアと協業する
MakeShopのようなASPシステムになると、開発を担当するのは、専門の開発チームになります。MakeShopにはASPを担当する部門と、カスタマイズを担当する部門があり、そのカスタマイズする部門に依頼することになります。
ただし、全てを行ってくれるわけではなく、自社側のシステム担当とも連携する必要があり、MakeShop側が提供するAPIを仕様を確認し、それにあうインタフェースを自社側でも提供し、一緒に開発しなくてはなりません。MakeShop側は、自社側のシステムを改修することはありませんので、自社のシステムを担当するエンジニアが必須となります。
ステップ④自社内にプロジェクトマネージャーを置き、開発から進捗確認、テストを担当
規模が大きい開発ではありませんが、「自社側のシステム」と「MakeShop側」をアプリケーションを使って、APIで連携するため、お互いのエンジニアの意思統一を行うためにプロジェクトマネージャーをおく必要があります。つまり、自社側のシステムもからむたおめに全てをMakeShopまかせにすることはできないのです。
プロジェクトマネージャーは、必ずしもSEのようなスキルを持っていなくても可能ですが、業務知識やITリテラシーがなければ、担当することはできません。
ステップ⑤ECサイトをリリースする
開発とともに、商品登録や、ECサイトのデザインも進め、テストを十分に終えたタイミングで、ECサイトをリリースいたします。テストは本番を想定したもの(すべての決済方法を試したり、キャンセルをためしたり)行わないと、リリース後に不具合が発生します。
また、データ連携がしっかりできているのか、最初は目検で確認して運営しましょう。システムリリース直後というのは、不具合のひとつや二つは出てくるものですから、不具合が発生した場合は、改修するまで、どのように業務を回すか?を検討します。
手法④オープンソース
オープンソースは、無料で提供されているソフトウェアサービスであり、ダウンロードして、PCやサーバーにインストールすることで、誰でも無料で利用することができ、さらに、改造したオープンソースを再販売することもできるので、多くの会社がオープンソース改修したソフトウェアを販売しております。
ECシステムにおいても、多くのオープンソースがあり、日本では下記の2つが有名です。
◆オープンソースのECシステム
(1)ec-cube
(2)Magento(マジェント)
ec-cubeは日本で1番利用されているECシステムであり、個人から大企業まで幅広く利用されております。日本のオープンソースとしては日本一であるために、プラグインや決済手段が無数に開発されており、ECサイトを運営する上で必要な機能がすぐに手に入れることができるのが魅力です。
また、ec-cubeを経験したことがあるエンジニアも多いために、エンジニアも他のオープンソースに比べると集まりやすいという特徴もあります。
Magentoは世界で一番流通しているECシステムで、ec-cubeと同様に、プラグインが無数に提供されております。また、海外のECサイトということもあり、多言語・他通貨対応に強いために「越境EC」に強いという特徴があります。
ただし、Magentoは、英語のコミュニティーで必要な情報を集めたりする必要もあるために、英語が得意なエンジニアであれば問題ありませんが、そうでなければ、ec-cubeの方がマニュアルが日本語で提供されているので開発はスムーズになります。
オープンソースの良いところは「カスタマイズが可能」な点です。これにより、個人でつかう標準的なECサイトから、システム連携が必要なカスタマイズECサイトまでに利用することができます。ただし、オープンソースを利用する場合は、自社でオープンソースを開発することができる技術力がある場合に限られます。
なぜなら、オープンソースは無料である代わりに、自分で下記のような作業が必要となります
◆オープンソースを利用してECサイトを運営する場合に必要な事
・最新版のソフトウェア入手
・サーバーをレンタル
・サーバーにオープンソースをインストール
・オープンソースの設定
・オープンソースをカスタマイズ・システム連携
このような作業が必要なるために、ASPのECシステムであれば、パソコンが使える程度のITリテラシーで十分ですが、オープンソースは、それよりも高いITリテラシーが必要となるからです。また、カスタマイズするとなつろ、エンジニアレベルのスキルが必要となります。
ステップ①オープンソースを入手する
まずは、オープンソースの公式サイトで、最新のバージョンのオープンソースを入手します。その際会員登録する必要があるので、メールアドレスとパスワードを登録します。ここで気を付けたいのは、オープンソースは結構な頻度で更新されているので、必ず最新のソフトウェアを手に入れることです。
古いバージョンにはセキュリティの脆弱性などが残っている場合があるため、最新のバージョンを手に入れる必要があります。インストール先のサーバーを用意できて、インストールするタイミングで入手するのが、良いでしょう。
ステップ②サーバーを用意し、オープンソースをインストール
多くの方は、レンタルサーバーを借りるケースがほとんどです。小~中規模のECサイトならハイスペックなサーバーは必要ありません。小規模のECサイトならば、エックスサーバーをおススメします。
なぜなら、エックスサーバーは「そこそこセキュリティ」に強いサーバーで、筆者自身もワードプレスをエックスサーバーで運営していますが、6年利用しましたが、ただの一度もサイト改ざんをされたことがありません。
よくある声「ハッキングやサイト改ざんなんて稀だろ!俺には関係ない!」
と思われるかもしれませんが、有名なS社やM社のサーバーでは、私自身が携わったサーバーで3回もサイト改ざんにあったことがあり、サーバーをレンタルする際は、セキュリティがもっとも大切となり、エックスサーバーは「そこそこ」セキュリティが強いので、小・中規模のECサイトである場合は非常におススメです。
また、エックスサーバーはに限りませんが、レンタルサーバーには「クイックインストール」という機能が用意されており、ボタンを押すだけでec-cubuをインストールする機能もついており、ec-cubeの場合であれば、非常にカンタンにサーバーをインストールすることができます。
話を戻しますが、サーバーが用意できたのなら、オープンソースをインストールします。
ステップ③ECサイトのカスタマイズ・デザイン
オープンソースといっても、管理画面があり、ASPのようにECの設定を行うことができます。ECサイトのデザインもあらかじめテンプレートが用意されおります。
無料・有料のテンプレートが用意されており、テンプレートから選んで、色などを買えてECサイトのデザインすることができます。また、デザイナーに頼んで、独自のオシャレなサイトにすることもできます。
オープンソースのプログラムを改修して、カスタマイズすることができるので、システム連携や独自の機能を追加することもできますが、相当の技術力と、WEBマニュアルやコミュニティにアクセスして、理解しながらカスタマイズしていく技術力が必要となります。
外部連携など考えなければ、プラグインを利用することで、ECサイトの必要な大抵のことは可能になります。
ステップ④商品登録等を行う
この点は、オープンソースもASPも変わりはありません。魅力的な写真をできるだけ多く登録し、商品説明を具体的に多く書きましょう。
ライティングが苦手な場合は、箇条書きを使うのもわかりやすくて、有効です。
ステップ⑤ECサイトを公開する
オープンソースの場合は、ASPと違って、ソフトウェアが更新されないので、自分で最新の更新ファイルを入手して、オープンソースを更新していく必要があります。これを怠っても、ECサイトの運営に影響はありませんが、システムが陳腐化し、セキュリティに脆弱になって、サイト改ざんや個人情報の漏洩の原因となります。
現に、カード情報流出被害のあるec-cubeの利用は経済産業省が注意喚起をしております。
ですから、ECサイト公開後は、オープンソースの場合は、ECシステムをご自身で最新のバージョンに更新し続ける運用が必要となります。
また、新しいバージョンが出た場合は、最新のバージョンを適用します。その際を気を付けたいのが、古いプラグインと相性が良くないケースがあるので、ただ単に最新のバージョンを適用すればよいというわけではないのです。
場合によっては、プラグインを優先し、最新のバージョンの適用を後回しにすることもあるのです。
そして、ここが大切な要素なのですが、オープンソースは、カスタマイズしてしまうと最新のバージョンを適用することができません。そうなると、システムの更新は自分達で行う必要があり、それは相当なエンジニアスキルが必要になり、現実的ではありません。
そのため、オープンソースでECサイトを利用する場合は、「カスタマイズ」しないのが基本となるのです。
手法⑤クラウドEC(SaaS型)
SaaS型のクラウドECとは、有名なものには以下の5つのECシステムがあります。
(1)ebisumart(エビスマート)
(2)W2ソリューション
(3)メルカート(ecbeing)
(4)コマースクラウド(セールスフォース)
(5)Eco2(コマース21)
これらクラウドECの最大の特徴は「カスタマイズ」が可能で、さらにASPのようにECシステムが自動で更新するのです。つまり、中・大規模のECサイトにはシステム連携が発生することが多く、カスタマイズでそれらを行うこともでき、さらに一度クラウドECを導入すれば、システムが古くならないために、二度とリニューアルする必要がない仕組みなのです。
中・大規模ECシステムのデメリットはシステムが陳腐化することですから、クラウドECであれば、システムが自動で更新され、しかも新機能がどんどん実装されるために、中・大規模のECシステムでは、導入を検討する事業者が増えております。
その証拠に「パッケージ」で最大手のecbeing社がクラウドのメルカートを2017年にリリースしたことからも、マーケットがクラウドの時代であることはわかるはずです。
しかし、SaaS型クラウドECにはデメリットもあります。それは構造的に障害が発生しやすいことがあげられます。なぜなら、
「システムが自動で更新されること」
「カスタマイズが可能なこと」
は相反するものなのです。それを可能にしているSaaS型を運用しているベンダーには多大な負担がかかり、高い技術力とともに、障害を発生させないシステム開発体制が構築されていないと、クラウドECのベンダー企業としての運営はなかなか実現が困難なのです。
そのため、クラウドECにおいては、早くからサービスを展開しているベンダーの方が、技術とノウハウの蓄積がされており、かなり有利になります。
その点はebisumartは2010年からSaaS型で運営しており、SaaS型で競合を先行している分、技術の蓄積ができており、この10年間はとても大きく、資本力がある競合が参入しても資本だけでは決して追いつけない技術的蓄積になっているのです。
ステップ①クラウドEC、パッケージを含め3社程度をコンペを実施
SaaS型のクラウドECの導入はECサイトの年商が1億~50億円程度の事業者が対象となるので、初期費用で600万円~数千万円になる大規模開発となります。この規模感になると、1社で決めることはありえなく、コンプライアンスの観点からも「比較検討したのか?」と経理部からも確認される会社が多いはずです。
その際、コンペに呼ぶべき会社は、他の手法とともに検討して下記のようになります。
◆ECサイトを検討する際のコンペで呼ぶべき3社
①1社目「SaaS型のクラウドEC」の会社
②2社目「パッケージ」の会社
③3社目付き合いのあるIT事業者
ただ、「③付き合いのあるIT事業者」に関しては、「①SaaS型のクラウドEC事業者」か「②パッケージ」に変えても良いと思います。
IT事業者の場合、ECサイトのことをわからず要件に基づきECサイトを作ってしまうために、IT事業者側で、ECの常識を知らないこともあり、例えば私の知り合いのスクール事業者が、IT事業者にECサイトを発注したところ、「会員登録」の仕組みのないECサイトが数千万円で出来上がってしまいました。
ECサイトの売上の半分以上はリピーターが生み出すもので、リピーター施策の第一歩は会員登録の仕組みです。IT事業者にECサイトの経験がなければ、こういったEC業界の常識を理解していないケースがあるのです。
ですから、付き合いのあるIT事業者がECが得意でなければ、下記のような3社でコンペをしてもよいでしょう。
◆ECサイトを検討する際のコンペで呼ぶべき3社
①1社目「SaaS型のクラウドEC」の会社
②2社目「パッケージ」の会社
③3社目「パッケージ」か「SaaS型のクラウドEC」
ステップ②契約内容の確認
コンペが終了し、1社が選定された場合は契約内容をしっかり確認しましょう(もちろんコンペの最中から確認すべきですが、ここではステップ2として解説します)。SaaS型のクラウドECをコンペにより選定した場合は、以下の3つの点の契約内容を確認すべきです。
①障害発生時の保証
②AWSなどのサーバー側の障害時の対応
③損害賠償の対象・範囲
特にクラウドサービスを利用する場合は、ECサイトのサーバーがAWS(アマゾンウェブサービス)やマイクロソフトのクラウドサーバーのAzure(アジュール)などのクラウドサーバーサービス上に構築されるため、それらのサーバーに障害が起きることが、ごくまれにあります。
記憶に新しいのが、PayPayもAWSが障害で止まった際に、PayPayの決済もできなくなってしまいました。ECサイトも同様で、AWSやAzureに障害があれば、ECサイトが止まってしまう可能性が高いのです。
クラウドサービスは、そのサービスのソフトウェアが入っているサーバーの影響を受けざるを得ませんので、こういったリスクを踏まえて「AWSで障害が起こった際、過去にどのように対応しましたか?」と聞いてみましょう。
ステップ③業務フローの整理・要件定義の実施
ECサイトを構築する際は、バックオフィス作業を業務フローチャートに落とし込み、そのフローチャートを元に、ECサイトと基幹システムや、在庫システムとシステム連携したり、あるいはカスタマイズを行います。
そのために、要件定義を行うのですが、ECサイトでよくあることなのですが、クライアント側に業務を全て理解している担当者がいない場合などがあり、そのような場合は、開発を進めるのが非常に難航します。
こういった場合は、システムのコンサルタントをプロジェクトに入れて、現状の業務の整理とTOBEモデル(理想の業務フロー)を作成してもらい、それをもとにECサイトを構築していきます。
ステップ④開発着手・テスト実施
このフェーズは、ベンダーに開発を依頼しているフェーズですが、ベンダー側から業務についての質問や、あるいは判断を求められることがあります。ですから、丸投げというわけには行きません。
また、予定通りに開発が終わるプロジェクトは少なく、大抵は工数の見積が甘かったり、開発中に想定外の要件が発生するために、送れることが多いです。ベンダーを詰めるやり方もありますが、私の経験ですとプレッシャーがきつくなるとかえって、リリース時の障害の原因になることが多くあります。
なぜなら、開発担当者がリリース日を優先するあまりに、テストの漏れが発生したり、小さな問題を上司に報告しづらい雰囲気が生まれるため、プロジェクトマネージャーが問題を把握できずにECサイトをオープンしてしまい、結果、システム連携が上手くいかず炎上案件になってしまうのです。
私はプロジェクトマネジメントの知識はありませんが、こうならないためにも、開発者が意見や報告しやすい状況を作っておかないと、プロジェクトが上手く行かないと考えてます。
ステップ⑤ECサイトオープン
ECサイトオープン後も、SaaS型のカスタマイズできるクラウドECの場合は、自動的にシステムが更新されるために、最新の機能やセキュリティを享受することができ、クラウドの大きなメリットと言えます。しかし、一方で、「カスタマイズできるクラウドサービス」のために、それが原因で障害がおこることもありえます。
例えばクラウドの場合は、自社のサイトが通常運営できているときでも、同じサーバー上の別の企業の店舗で障害が発生した場合、自社のサイトにも影響がある場合があるので、そういったリスクにそなえる必要があります。
つまり、クラウドの最大のデメリットは「自社が原因ではないことで、障害が発生するリスクがある」ということになります。
◆障害の原因
・AWSやAzure障害
・同じサーバー上の別企業ECの障害
これらはクラウドECを導入する際は、事前に頭に入れておきましょう。障害発生時の手続きも事前に決めておくべきです。
手法⑥パッケージ
パッケージは、中・大規模のECサイトで最もスタンダードなECサイト構築方法です。なぜなら、パッケージとは、すでにそのままでも「ECを運営できる基本機能が実装されているパッケージ」のことであり、それを自社のECサイトにカスタマイズやシステム連携を行うECサイトの構築方法です。
国内でパッケージで有名な会社は下記の通りです。
(1)ecbeing(イーシービーイング)
(2)コマース21
(3)SI Web Shopping(エスアイウェブショッピング)
(4)ec-Orange(イーシーオレンジ)
パッケージにおいては、初期費用や月額費用は下記が基準となります。
◆パッケージの費用感・開発期間
初期費用・・600万円~数千万円(大手の場合は1億を超えるケースもある)
月額費用・・10万円~100万円
開発期間・・3ヵ月~1年程度(案件によりますが半年くらいのケースが多い)
かなりの高価格帯となりますので、ECサイトの月商が1億円~50億円くらいの事業者が選ぶ方式なのです。
ただし、パッケージにおいても、全くカスタマイズせずに、最初から実装されている機能だけでECサイトをリリースすれば、初期費用を300万円程度にすることもできます。これはECサイトの売上規模に合わせてカスタマイズしていく方式です。
ASPはカスタマイズできないことが多いため、ASPからECサイトを初めて、売上が高まった時にシステム連携を行おうとしても、それは不可能ですが、もし最初にパッケージを導入すれば、後日、サイトの規模感に応じて、ECサイトをステップアップすることができのです。
ECのシステムを変更するのは、担当者の労力が非常にかかるので、将来のステップアップも見据えて、このような方式がとられます。
また、パッケージ会社といっても「オープンソース」をカスタマイズしたパッケージシステムもあり、あまりおススメできません。それは二つ理由があり、
①自社で1から作っていないのからエンジニアの技術力が疑問
②オープンソース自体のバグがあった場合の責任の所在がベンダーにはない
このような理由から、筆者はオープンソースを元に作ったECパッケージはおススメしません。それではパッケージのECサイトの作り方を解説します。
ステップ①「パッケージ」「SaaS型のクラウドEC」を含めて3社程度コンペを実施
パッケージの価格帯は「SaaS型のクラウドEC」と同じ価格帯ですから、パッケージだけではなく、クラウドEC事業者も呼んで3社程度でコンペを実施してください。
パッケージの場合(クラウドECも同様ですが)は、
「パッケージベンダーのECサイト構築実績に、自社と同じような事例があるか?」
という点が非常に重要です。なぜなら、もし同じような業界を経験しているのであれば、独自の機能もすでに開発されているケースがあるため、開発工数を減らすことができるからです。工数が減らせれば価格も下げることができるからです。
例えば、格安SIMのECサイトは、「SIMのギガ数」「SIMのサイズ」などを選択する必要があり、通常のECサイトとは違う見せ方のために、独自の開発が必要ですが、導入を検討しているパッケージが過去の事例ですでに実装済みならば、その機能を使うことができるからです。
このように、コンペする際は、過去の実績が非常に重要になるのです。
ステップ②サーバーの設置や保守契約の確認
コンペで、パッケージ企業の採用が決定した際はクラウドサービスではないので「サーバー」の設置場所を決めなくてはなりません。サーバーの設置は下記の2つのいずれかになります(ここではクラウドサービスの観点は入れておらず、ここではクラウドサービスを含めて自社か他社かの観点で解説します)。
①自社のサーバーに設置
②ベンダーのサーバーに設置
自社でサーバーを管理できるのなら、自社に置くことができれば、サーバー保守費用などはベンダーに払う必要はなくなります。ただしECサイトに障害が起こった時は、ベンダーと協業して原因究明する必要があり、障害回復のためのスピード感に時間がかかる可能性があります。
ベンダー側のサーバーにパッケージを設置すれば、サーバー運営費用がかかりますが、サーバーの問題や運営を自社で管理する必要がなくなります。また、障害の際もベンダーが「サーバー」と「ECサイトのソフトウェア」の両方を管轄できるので、原因究明がしやすくなります。ただし、全てをベンダー側が情報を握ってしまうので、信頼関係がなければ、難しい面もあります。
ステップ③業務フローの確認・要件定義
パッケージの導入は、システム連携を伴うことがほとんどですから、業務に詳しい担当者が絶対に必要になります。ただ、大手小売などは、業務知識のある担当者が退職しているケースなどがあり、こういった場合は、今sなるタントを入れて業務フローの整理を依頼するしかありません。
この工程が完全に把握できないと、次の工程に行くことはできず、私の経験ですが、誰もが知る大手のデパートでは、業務に詳しい担当者がいないために、いまだにECサイトを実装することができない企業もあるのです。
残念ですが、この点を自社でクリアにできなければ、EC業者に丸投げして運用することもできないのです。
ステップ④開発・テスト
この工程で、重視しないといけないポイントは、要件定義時とリリース後の業務フローに変更はないか?もし変更(ギャップ)があった場合は、ECサイトがその業務フローを対応できるか?などを考えなくていけません。
パッケージでのECサイトの開発は半年から1年以上かかることも珍しくはありません。そのため要件定義を実施した際と、業務フローが変わってしまうことがあるのです(本当は絶対によくないことですが)。
このようなことが起こらないように、現場の方とコミュニケーションを絶えずとる必要がありますし、仮にギャップが発生した際は、発生したギャップを見積もらなくてはなりません。
ステップ⑤ECサイトオープン
パッケージのECサイトがオープンしてからは、保守のことを考えなくてはなりません。なぜなら、パッケージのECサイトは、ASPやSaaS型のクラウドECと違い、リリースした瞬間からシステムが古くなっていきます。
そのため「セキュリティ」や「システムの時流」などを絶えず更新する必要がありますが、実はこの更新費用は、パッケージの場合は非常に高くつき、一概には言えない面もありますが少しの改修であっても「100万円」もかかるケースは珍しくはありません。これがパッケージの最大のデメリットとなります。
また、パッケージのシステムは古くなるので、5~7年後にはシステムのリニューアルを考えなくてはならず、次のシステム導入からローンチまでの期間を考慮をすると、パッケージの寿命は5年程度が目安となります。
こういったデメリットがあるために、中・大規模のECサイトでは、システムが常に自動更新される「SaaS型のクラウドEC」が主流になりつつあるのです。
手法⑦フルスクラッチ
フルスクラッチのECサイトはサイト年商が50億円以上の企業に採用される方式です。なぜならサイト年商が50億円を超すECサイトになると、基幹システムや在庫連携などは必須ですし、売上をさらに高めるための細かいカスタマイズのニーズなどに完全に対応できるのはフルスクラッチしかないからです。
例えば、
◆フルスクラッチの例
・ユニクロ
・ZOZOTOWN
などはフルスクラッチで作られており、これらのECサイトは自社内のエンジニアによって開発されているのです。しかし、世の中にはサイト年商が1億円程度のECサイトでも、フルスクラッチで作られているケースが多々見受けられます。
なぜなら開発を依頼する事業者側にはECの知識がないために、付き合いのあるIT事業者にECを依頼するケースです。IT事業者もECは本業ではありませんが、案件を受けたのなら自社開発しますが、ECにはECのノウハウがあり、例えば「会員登録」がなかったり、画面の遷移が変なシステムが出来上がることが多々あるのです。
フルスクラッチが本領を発揮するのは、ユニクロのような超大手小売りの場合であり、そうではないのなら「SaaS型のクラウドEC」や「パッケージ」をベースにカスタマイズした方が良いでしょう。
ステップ①フルスクラッチのECサイトが必要か?中長期的に協議する
まず、フルスクラッチが必要なケースは以下の二つです。
・特殊な業界のため独自要件が多い
・トラフィックが多い大規模ECサイト
この2つに該当しない場合は「パッケージ」か「SaaS型のクラウドEC」で事足ります。フルスクラッチはゼロから開発するために、数千万円から数億円の初期費用がかかりますので、まずは自社内でフルスクラッチが必要な根拠を洗い出すべきです。
また、よくあるケースが「社長の知り合いのIT事業者に発注したい」という経営者の意向が強く働くケースですが、EC担当者として、パッケージやクラウドECと比べて費用感や開発期間、リリース後のECサイトの寿命などの比較表を提出し、本当にフルスクラッチが必要かどうか?よく考えるべきです。
自社内で、フルスクラッチでECサイトを作る場合は、ECサイトの開発経験のあるメンバーや、あるいはECのコンサルタントを入れるなどして、ノウハウの不足を補う必要があります。
ステップ②総責任者を明確にし、権限と責任を与えてプロジェクトを進める
失敗する多くのプロジェクトは「責任の所在が不明確」の点にあります。そのため大規模ECサイトの構築の場合は、総責任者には高い権限とともに責任を与えて主体的にプロジェクトにあたってもらわなければ、フルスクラッチのECサイト構築は上手くいきません。
ステップ③業務フローを作成する
ここは、パッケージ、クラウドECと重複する点ですが、現状の業務フローを把握する必要があるので、業務に最も詳しい人間をアサインするか、そういった人材がいない場合は、業務分析を行うコンサルタントを入れて、業務フローを把握し、EC導入後のTOBEモデル(理想形の業務フロー)を構築します。
ステップ④開発・テスト
外部にフルスクラッチを依頼する場合は、ドキュメントも納品してもらうのが一般的なので、問題はありませんが、自社内で開発する場合は、開発スピードが早い反面、ノウハウや共通理解事項はエンジニア間の頭で行われているケースが多く、ドキュメントが整備されにくい傾向があります。
ITエンジニアには、入れ替わりの大きい業界でもありますから、ドキュメントの整備にも時間を割かないと、保守管理しづらいECサイトになり可能性がありますし、次回のリニューアルの時に相当苦労するはずです。
ステップ⑤ECサイトをリリース
フルスクラッチの真骨頂とは、自社内のエンジニアで実行する場合に限られますが、サイトの売上や効率を高めるための改修を、最も早く行うことができる方式な点です。
例えば、買い物かごのフォームや画面遷移を改修するだけでも、売上に大きく影響があります。そのためマーケティング部門の仮説と効果検証のインサイトとともに、自社内エンジニアが改修することで、スピード感あるPDCAサイクルをつくることができるのです。
とはいえ、マーケティング部門とエンジニア部門では、考え方や重きを置くポイントがことなるので、一体となって改修を行うのは大変ですが、マーケティング部門とエンジニア部門を同じ部門長にして、意思決定を行うなどの工夫が必要となります。
ECサイトの作り方のまとめ「ECの運営は担当者の本気度にかかっている!」
本日は個人から大企業までが、どのような手法でECサイトを作るのか?全7つの方法を解説しました。15年前と比べて、ECサイトを作る手法、ベンダーは多くなり、ECサイトを構築する難易度は減ったため、誰でもECサイトを持てる時代となりました。
ですから、ECサイトの運営では作るよりも、集客して売上を高める方がずっと難易度が高いのです。そのために必要になるのが、EC担当者の本気度です。システムの問題も、商品が売れないことも、全て自分の問題として、どれだけ主体的に課題を解決していけるかが大切なのです。
ECサイトの運営経験者は、マーケットには多くはありません。もし、大成功をおさめることができれば、転職もカンタンですし、独立してECサイトを運営するなど将来の選択肢も増えてきます。
求められるのは、担当者の本気度なのです。